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北陸温泉紀行 ~ べにや無何有(むかゆう)
■ 自分をからっぽにする小さな旅 ■自宅から車で45分、毎年訪れる、特別な異空間。午後3時にチェックイン。
『 お連れ様がご到着です 』
と、仲居さんから声がかかるであろう、午後7時までは、ゆっくり温泉で自分をメンテナンスし、
その後は、本を読んで過ごす甘美な孤独。夕陽や、夜空を見上げながら、
風の音や、鳥のさえずりを聴きながら、
ゆっくり安らぐ露天風呂。有吉佐和子の『青い壺』は、現実逃避に最適な一冊で、
温泉読書に選んだことに小さく拍手。記憶に残った、登場人物の言葉は、
『人間には贅沢というものが必要なんだ』『味覚というのは、教養だからね』
貧しい生活を強いられた戦時中の、貴族のことばに一方的に共感する、平成の一幕。 -
タケノコの故郷 ~ 別所町
金沢の筍の産地・別所で、
友人たちと気楽にタケノコのフルコース
こちらのお店、祖母の実家という、
ちょっと遠い親戚です。高校時代、生まれて初めて
アルバイトしたのもこちら。ゴールデンウィークの繁忙期に
三日間、泊まりがけでお運びしたら、
筋肉痛で大変だったことを思い出しました。霧島ツツジの鮮やかさはあの頃のまま、
なんだか思い出を旅するような気分。朝掘りのタケノコのお刺身は柔らかく、
季節の滋味でお腹いっぱい。お目当てのコーヒー店はお休みで、
自宅でお抹茶と干菓子。これもまたよし。