• 自分がふたり、いるならば

    忙しさに心を亡くすと、こう思う。

    『自分がもうひとり居たらなぁ』

    特に女性は、家の仕事と、外の仕事の
    感情の切り替えがむずかしい。

    本来、家事が好きな女性なら尚更のこと。

    部屋を整え、花を育て、
    太陽と仲よく洗濯をする。

    衣類にシワなくアイロンをかけて、
    タンスにキチンと整理する。

    丁寧に選んだ食材で、
    無駄なく、おいしく、
    滋養に満ちた料理をつくる。

    部屋には曇りのない澄んだ光が
    キラキラ射しこみ、

    スッキリした清浄な風が流れる空間で、
    家族に安らぎと幸せを提供できている、

    そう実感できたときの、
    えも言われぬ悦び。

    一方、仕事では、

    自分の好きなこと、得意なこと、
    経験や知識を誰かに提供し、
    認められ、歓ばれたときの、
    温かい充実感。

    未来にかかるモヤが、一冊の本、
    誰かの言葉で一瞬にして晴れ、
    今すぐ行動したくてたまらなくなる、
    湧き躍る高揚感。

    無理だと思った難題を、
    悩みもがきながらも前進し、
    ストレスのハードルをひとつ越えた
    無重力の安堵感。

    お客様からいただいた大切なお金を、
    次の自己成長に投資できる、
    終りなき誇らしさ。

    なによりも、
    誰かの人生の幸せな転機に、
    ささやかでも関わることができた。

    そう実感できたときの、
    えも言われぬ悦び。

    両方の悦びを知る女性は、
    どちらも手放せず、
    どちらも理想通りにできない自分を責めて、
    罪悪感を抱く。

    私もそう。
    いつも自分を責めている。

    時間がないのではなく、
    感情の切り替えが下手な自分が悪い。

    でも、そもそも一個の理想だって、
    思い通りにするのは大変なこと。

    それを二個抱えて、
    両方、思い通りにしようなんて、
    自分の器のキャパを知らなすぎるというもの。

    人は自分の器の分しか、
    思い通りにはできないし、

    器は簡単には拡張しない。

    無理なときは、誰かの器を借りる。

    無理なときは、

    これが今の自分の器だと認めて許す。

    もし、もうひとり自分がいたら、

    mini me に何をしてもらって、

    real me は何をするだろう?

    mini me にしてもらいたいことが、

    今は誰かの手を借りるか、

    できないことを認めて許す優先順位。