おしゃれの幸福論 ~ 光野 桃

光野桃さんといえば、
私が20代の頃の愛読誌『ヴァンテーヌ』で
コラムを書いていらっしゃって、
きれいな文章と夢のようなファッションの世界に
地方都市に住むOLの私は、
心酔し、憧れていたものです。

久しぶりに手にして読んだ新刊

『おしゃれの幸福論』

光野さんにも45歳から55歳までの10年間、

おしゃれから遠ざかっていた
暗黒時代があったことを知りました。

人生は山あり谷あり、子育てや療養中、
介護やリストラ、
おしゃれどころではない時が
女性にはあるもの。

そんななかでも、
最低限の矜持を持っていれば
最後のおしゃれの聖霊が
自分にとどまってくれる。

そんな言葉に心惹かれました。

矜持とは、
自分の能力を優れたものとして誇る気持ち
自負、プライド

光野さんの最低限の矜持はパールピアス。

光野さんのおしゃれの師匠である
ジュエリーサロンのオーナーが
『朝起きて、顔を洗ったら
すぐこのピアスをつけてね』
と言って手渡してくれたピアス

化粧もせず、
美容院に行く時間も気力もなく、
汚くてつらかったときも、
パールピアスだけは外さない。

それが女性としての最低限の矜持。

よそ行きの時よりも、
毎日の暮らしのなかでこそ
おしゃれは大事なのだと信じて行う心がけ。

私にとっての最低限の矜持は何だろう。
と考えた。

46年間の人生で、わたしにも
おしゃれどころではない、
本当に余裕のない時期が確かにあった。

その中でもずっと続けていたのは、
ネイルとハイヒールだろうか。

80歳になっても、
ネイルとヒールパンプスが
最低限の矜持と思えたら、
それはそれはすてきなこと。

そんな女性に、自信の女神は
温かく微笑みかけるのだろうな。