-
ご縁が芽生えるとき
山奥のお蕎麦屋さんで昼一番の開店待ち。
私の次にやってきたのは、
関東ナンバーのプリウスに乗った、
活発な老紳士二人組。『どちらからお越しですか?』
と声をかけたら、東京からきたお二人は、
10年以上も毎年、同じコースで石川県を
一緒に旅しているらしい。加賀の橋立で魚料理を存分に食べ、
お気に入りのぶどう園に寄って
シャインマスカットを買い、
九谷焼で冷抹茶をいただいたあとは、能登に泊まり、輪島で寿司を食べて、
JA羽咋で赤土すいかを買い、
白山で蕎麦を食すという、
かなり通好みのドリームツアーを
愉しげに語ってくれました。なんでも、お一人の紳士は、
能登島に別荘をお持ちらしい。石川県を旅しながらも、
金沢市を完全にスルーする辺りが
大層渋いではないか(笑)わたしが、輪島のお寿司やさんに
行ったことがないと言うと、
店名と連絡先、そして紳士お二人の
名字が添えられた箸袋を手渡され、『僕達から聴いたと言って、お行きなさい。』
と、言われたので、この小さな出逢いを
さらに愉しむために行ってこようと思います。お寿司やさんで、お二人の名前を伝えたとき、
『よく存じ上げています!
そのお二人は…カクカクシカジカ』となるか、『ハテ?どなたでしたっけね?』と、
なるかはわからないけれど、
どっちを想像しても愉しすぎて、
それだけで2時間かけて輪島にいく価値が
十分にある(笑)そして、物語の続きはこちら↓ -
モネ それからの100年
三連休の最終日、休日の横浜は、
ゆったりとした穏やかさに充ちていて、
広がる視界には、輝く青い空と海。いきなり『睡蓮』から始まり、
圧巻の『睡蓮』連作でおさめる、
金沢では決して観ることができない大作の海。晩年、白内障を患い、かつて愛した
美しい色彩の世界を失ったモネが、
美意識の記憶をたどりながら描いたからこそ
生まれた作品なのかもしれない。いま、私たちの目の前に広がっている
美しい世界の価値を、
改めて愛しく思いながら、
美術館をあとにしました。 -
文月 ~ 印象美な大人の表現力教室
7月の『印象美な大人の表現力教室』今回は、金曜日夜コース、日曜日昼コースの人数バランスが丁度よく、話しやすいムードが、本音の想いを引き出したのではないかと感じました。選ぶ本も、体裁ではなく、より、その人らしさが表れてきて、自分の純粋意欲を聴く力がついてきたように思われます。わたしが選んだのは、20年無敗の伝説をもつ麻雀の代打ち師桜井章一さんを、一流棋士 羽生善治さんがインタビューした、名人対談本『 運を超えた本当の強さ 』代打ち師は、他人の人生を背負い、勝負する。どんな時も自分を見失うことなく、感覚を研ぎ澄まし、平常心で生きるための考え方への提言は、すべての職業にあてはまるはず。柳は緑、花は紅(くれない)、真面目(しんめんもく)という禅語がありますが、“自分を生きることに集中すること” こそが、勝負に勝つのではなく、強くなることを目的とする、唯一の道なのかもしれない。今月のプティフールは、レモンタルト。甘酸っぱい香りが、口のなかで際立ちました。