鈴木大拙館 企画展 ~ 寮長報告

うっすらと雪化粧した立春間近のお朔日(ついたち)。
2月1日(金)、今日から始まった鈴木大拙館の
企画展『 寮長報告 』に行きました。
私自身が目指すリーダー像のイメージに
『寮長』というポジションが何故かあてはまり、
そのひらめきの理由を探しにやってきました。
学芸員の方に伺ったところ、
鈴木大拙先生が、学習院の寮長になったのは46才。
当時の学習院は華族など、
特権階級の子息たちの集まりで、
その男子学生たち(ジェントルマン)に
『個人主義』『自主自律』を説いた言葉や、
自らの心構えなどが書かれた資料が展示されています。
資料室で文章を読み耽るなか、
心に響いた文章は、
寮長という役割を担うにあたり、
鈴木大拙先生自らの考えを語った文中の一節。

これが御役所の仕組み、又は軍隊式なら知らず、

即ち単に官位が高いからとか、
佐官であり将官であるからと云ふので、
其下のものを統率して行くのなら知らず、

『 家族的趣味を以て諸君を訓育す 』
と標榜している寮の生活では、
何と云うても先立つものは 徳 である。

此徳と云うは、
其人の性格から流れ出る一種の真気、
『セラソフィ』などで云う
一種の『オーラ』であって、
決して外からくっつけられたものではなく、
また一時に造りつけられたものでもない。

修養の効能で、
其人の内心より
自然に放射し出る光明である。


『寮にはいるときの覚悟』より 1916 講演


『 家族的趣味を以て諸君を訓育す 』
という暖かい言葉のニュアンスは、
理想とするイメージそのものでありながら、
『徳』というエベレスト級の敷居の高さ、
万里の長城並の長距離に涙がにじむ、、、、
一方で、はるか遠いものを追い求めながら、
手が届かないと嘆いていたのだな、、と知り、
すこし気が楽になりました。
迷走したときに足を運び、
思索できる場所が身近にあるしあわせ。
見ず知らずの紳士たちにも
それぞれの悩みや思索があるだろうと思うと、
すべての人々が愛しい仲間に思えてくる。
帰りはオフクさんで、
最高に美味しいスイーツと、熱いコーヒーで読書。
メンターとは、
『一生、探究せずにはいられない答え』を
与えられるひととビジネスコーチングの恩師が
仰っていました。
鈴木大拙先生は、まさに時を越え、
万人のメンターとなる偉人だと改めて感じました。
とく
〗 (トク
  1. 1.

    身についた品性。社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力。

  2. 2.

    広く他に影響を及ぼす望ましい態度。のり。おしえる。めぐむ。