金沢の習慣 ~ 氷室の日

石川県の7月1日は、毎年恒例『氷室万頭』

加賀藩では『氷室』と呼ばれる、

氷や雪の貯蔵庫に、
医王山や倉谷の清らかな雪を貯蔵し、
江戸の将軍に献上するのが

恒例となっていました。

8人の運脚が昼夜を通して走り続け、
4日間かけて、加賀藩江戸屋敷まで
運んだと言われています。

運ばれた氷は『白山氷』と名付けて
徳川家に献上されました。

今も金沢市では、

氷室の氷を臣下に授ける
宮中儀式が行われた7月1日には、
毎年『氷室万頭』を頂き、
夏の無病息災を祈ります。

町中の和菓子やさんに『氷室』の字が踊り、
色とりどりの素朴なお万頭を、

自宅、勤務先、立ち寄り先などで、
1日何個も頂く日。

県内の和菓子やさんが不眠不休で作る、
賞味期限1日限りの大量のおまんじゅうを、
石川県内で消化するって、すごいこと。

毎年、氷室万頭を作り続ける和菓子屋さんと、
毎年、万頭をいくつも頂き、贈り合うことに、

価値を見いだす住民が共存してこそ、

文化風習は続いていく。

当たり前のように、

藩政時代の風習が息づく金沢は、
日常に小さな贅沢があふれる街です。

今年は小松の松葉屋さんの氷室万頭。

こんなに素朴でシンプルなお万頭に、
オリジナリティを薫らせようとする
和菓子やさんたちの工夫にも、
毎年、感動します。
神泉の大吟醸を使った酒万頭は、
香りから特別。