ゆるすということ

こころが、悲しみや怒りで
いっぱいになったとき、

それを封じ込めようとすると、
内側の感情は扉をドンドン叩き、

心はその鼓動に疲れはて、
乾いてパサパサになってしまう。

そんな時に思いだしたい1ページ。

■ 過去のよいおこないを語る儀式 ■

南アフリカのバベンバ族では、
部族の誰かが不正を働いたり、
無責任な行動をとったとき、
村の真ん中に、
一人で座らねばなりません。

もちろん、逃げられないような
手だてが講じられます。

村人はみんな仕事をやめ、
集まって輪になり、
その人を囲みます。

それから、子どもを含めた全員が
一人ひとり、その人が過去にした
よいことについて話しはじめます。

その人について
思い出せることすべてが、
詳しく語られます。

その人の長所、
善行、親切な行為などすべてのことを
輪になった一人ひとりが詳しく語るのです。

村人たちは、
これ以上ないほどの誠実さと
愛を込めて話します。

誇張もでっち上げもゆるされません。
不誠実な態度や、
皮肉な態度をとる人もいません。

その人を共同体のメンバーとして、
いかに尊敬しているか村人全員が
話し終えるまで、この儀式は続きます。

それは数日間に及ぶこともあります。

最後に輪が崩されると、
その人を部族に再び迎え入れる
お祝いが始まります。

この儀式が、
美しく伝えているように、
愛を中心に考えれば、
ただ一体感を取り戻すことと、
ゆるしがあるだけです。