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鈴木大拙と禅語の書
世界にZENの思想を広めた鈴木大拙は
石川県の出身です。今日は、書家 国分佳代さんの
禅語をテーマにした個展にちなみ開催された、鈴木大拙館の学芸員・猪谷 聡氏の
ギャラリートークを聴いてきました。猪谷さんの声、話し方は、いつ聴いても、鈴木大拙の世界観にピタリと合っているなぁ。と、沁沁(しみじみ)思う。まるで空間のために誂えた家具のような、
心地よい声にいつも惚れ惚れしてしまいます。心に響いた禅語は、
『明珠在掌~みょうじゅたなごころにあり』~意味~
明珠(宝物)は手のなかにちゃんとあり、
誰でも光輝く存在を確実に持っている~国分さんの書に添えられた、●の中にある光が、
明珠の存在を訴えかけるように感じました。猪谷さんのお話のなかで興味深かったのは、
鈴木大拙は、小説『海賊と呼ばれた男』の
モデルとなった出光興産創業者・出光佐三氏の、
今でいう、コーチ、メンターのような
存在だったこと。出光氏の語る言葉を受けて、鈴木大拙先生が、
『そうか、君はそんな問題を抱えているんだね』
と仰った、たった一言で、
出光氏の道筋を拓かれることもあったそうです。二人の間に通じ合った歴史のワンシーンに、
思いを馳せる静かな空間。日曜日の素敵な午後を過ごしました。
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デザイン書家・国分佳代先生の筆文字教室
選んだ季節の美言葉は『凜秋りんしゅう』何度書いてもカタチにならず、
悪戦苦闘しながら集中すること二時間。『今日最初にかいた一枚より、
最後にかいた一枚が、うまくなっていたら上出来』そんな先生の優しい言葉に、
ふんわり和みました。お茶の時間の主菓子、銘は『月露 げつろ』この日のために東山の吉はしさんに
注文してくださったそう。この小さなお菓子の中に、
季節の色合いや、独自の世界が広がる美しさ。関東から金沢に移り住み、
この街に惹かれ、東山の町家を自分で買って、
エステティックサロンを始めたという、
安嶋 有希子さんが提供する『金沢らしさの表現』は、日常の交流や、
暮らしのなかに息づく、小さな贅沢を愛でる時間。金沢の人より、金沢らしいおもてなし。
心地好い豊かさを、
ありがとうございました。☆写真の『凜秋』は、先生のお手本です(笑)
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辻家庭園 金澤月下艶舞
今宵は、いにしえと今が交錯する幻想体験でした。
しんと静まり返った雪化粧の庭園、
寺町台には満月が浮かび、
これ以上ないほど完璧な舞台。会場は、辻家庭園~前田家家老旧横山家迎賓館
先人が守り続けた金澤の文化遺産と、
現代のアーティスト、
藤間信乃輔さん(日本舞踊家)、
モリ川ヒロトーさん(映像作家&作曲家)
による、舞と映像の幻想空間の演出の
コラボレーション。一世紀もの間、一般公開されることのなかった
武家文化の贅をこらした特別な空間なのに、歴史に優しく包まれて、
不思議なほど心穏やかな充足感。先人の魂からもてなされたような時間。
雪降る金沢に生まれて良かった。
そんな夢のような一夜でした。開催してくださった皆様、
本当にありがとうございました。