365日のシンプルライフ ~ フィンランド 2013年
主人公は、ヘルシンキにすむ青年ペトリ。
彼は、恋人と別れたことをきっかけに、
ある実験を行うことを決めます。
● 自分のすべての持ち物を倉庫に預ける。
● 一日一つだけ、必要なものを倉庫から持ち帰る。
● 食べ物以外、なにも買わない。
● これを一年、続ける。
真冬のヘルシンキで、素っ裸から一日目が始まり、
拾った新聞紙で身体を隠して、倉庫へ走るペトリ。
生活に本当に必要なものを、
一つずつ、考えながら持ち帰る。
最初に手にしたものは、ロングコート。
裸にまとえば、外も歩ける。
毛布がわりに、暖もとれる。
シャワーのあと、身体も拭ける。
そもそも洋服とは、
寒さや日光から身体を守るために必要もので、
その基準からはみ出したものがファッション。
洋服は生活に必要だけど、
ファッションは生活を楽しむために必要なもの。
その住み分けすら、
モノに溢れた暮らしのなかで、
私たちは、忘れてしまいがちです。
365日、お祖母さんや、友人たちや、
新しい恋人との関わりのなかで、
人生におけるモノの役割を、
考え続けるペトリ。
そして観る側もまた、ペトリと一緒に、
自分にとって、本当に必要なものを
考える時間になります。
以前、女友達数人で、
洗濯機、冷蔵庫、掃除機が一度に壊れて、
一つしか買えないとしたら、何にする?
というテーマで会話したことを思い出しました。
答えも、理由も、みんなバラバラ。
ちなみに私の答えは、掃除機でしたが、
掃除機を選んだのは、ひとりだけ。
生活における価値基準はそれぞれで、
何を選ぶかよりも、
選んだ理由のほうが、ずっと大事。
あるはずのものを、一度手放すと、
自分の人生において、
本当に大切にしたいものが見えてくる。
この映画は、
モノを手放すことが大事なのではなく、
モノを選ぶなかで、
自分はどう生きたいのか、
その意思を問うことの大切さを伝えるお話でした。