「 第一印象を創る 」 と聞くと、
外見的な見栄えを整えること。。
という、少々軽薄な印象を与えるかもしれない。
洗練されたスタイルやファッション、メイク、
所作、マナー、それらは憧れであり、
誰もが手に入れたいものではある。
しかし、それがどこででも、誰にでも、
快く受け入れられる 『外見力』 なのか?
・・・と問われれば、
コミュニケーションとしての答えはNOである。
先日、『プロフェッショナル・セールスマン』
という本を読みました。
ある外資系保険会社で
「伝説の営業」と呼ばれた男性の、
壮絶な顧客思想を綴った本である。
その中の一節。
ジーンズメーカーへの訪問営業。
社員全員がジーンズで勤務している会社に
自分もとけ込めるようにと、
その会社のジーンズをはき、
ネルシャツに革靴、営業バッグという
奇妙な姿で訪問。
ひどいコーディネートだったが、
そのみっともない姿が
顧客の脳裏に、いい印象として焼き付いたのだそう。
その一節を読んで、
わたしはある女性を思い出しました。
とある大手経営コンサルタント会社の取締役で、
全国各地の街の活性化や、観光コンサルタントなど
数々の実績を重ねてきた素晴らしく優秀なひと。
石川県内で行われた観光のシンポジウムなどで、
何度かご一緒させていただくうちに、
私は彼女のファンになりました。
とても気さくで朗らか、
誰にでも敬意をもって接し、
何よりも、その場の雰囲気を考えた
自然な装いの出来るひと。
ある日、新潟県山古志村の町おこしの仕事で再会。
新潟市内のホテルでの会合にやってきたその人は、
型遅れのコートに、古びたマフラーを巻き、
ペタンコのシューズ。 化粧っ気はないけど、
いつも通りの朗らかな笑顔であらわれた。
まだ震災の爪痕が残る場所。
街の復興のために
必死で頑張っている住民の気持ちに
自然にとけこむ服装を選んだのだ。
と、すぐにわかりました。
華やかな都会の匂いを感じさせないように、
東京からその服装で新潟入りした姿に、
本物のプロだと感銘を受けました。
外見力を、潔いほど低くコントロールする
という行為は、特に女性にとっては過酷で、
なかなか出来ることではない。
誰だって、一番いい自分を見てもらいたいという
自己顕示欲があるし、自己重要感を満たしたい。
だって、それが本能だから。
『 知性的な第一印象 』 とは、
『 相手の気持ちや立場を尊重すること 』
相手に合わせ、自分の外見力をコントロールする。
それが、グランクラスのコミュニケーション。
これは簡単なようでいて、なかなか難しい。