電話は声の玄関



電話は「声の玄関」である。
とくに、客とお店、
客と会社・・・というシチュエーションの場合、

第一声である
「お電話ありがとうございます、
   ○○でございます」
は、会社や店のイメージを決定づける。

予約の電話をする
注文の電話をする
問い合わせの電話をする

かけるほうは、
相手宅に訪問するように少し緊張する。

そして受けるほうは、
「ようこそ!」という気持ちであるはず。

この「ようこそ!」の気持ちが、
しっかりと伝われば、
相手の心に「信頼という橋」が架かる。

先日、あるお料理屋さんに行きました。

緑に包まれた山奥の老舗で
都会から遊びにくる友人に
自然の中、のんびりと食事を
楽しんでもらいたくてそのお店を選んだのです。

予約の電話、
電話口に出てくれたのは
声の印象から、40~50代の女性。

「お電話ありがとうございます、
  ○○でございます」

しっとりと優しく落ち着いた声。
苔むした美しいお庭の佇まいをも連想する声。

それはお店のイメージそのもので、
それだけで安心してしまいました。

お庭がきれいに見える部屋
囲炉裏で魚を焼いてもらえるメニュー
旅行中なのでお腹がもたれない料理内容
予算はこのくらい

訊きたいことを一方的に質問する私の話を
親身に聴いてくださり、
やさしく、わかりやすく回答してくれた

どうしてそう感じたかというと、

① 相手の話を最後まで聴く

② 誤解を与えない話し方
この予算のお料理メニューは(主語)
こういう内容です(回答)


私は予約の電話の際は必ず予約担当者の名前を伺うのですが、
このかたに名前を伺うのは失礼だな。と思い、

あえて伺いませんでした。

最後のひとこと、
「では、お越しをおまちしております」

電話だから、姿は見えないけど、
声だけで深々とお礼する姿が見える。

温かく静かな五月雨のように落ち着いた声だった。

たった2分程度の電話の会話で
客との信頼関係を成立させるスタッフは
会社やお店の財産です。

本物の玄関で
お客様をお迎えする前から、
「声の玄関」でのおもてなしは始まっている。

電話をとるとき、
一人一人がそう意識することが何より大切なのだと思う。