映画/未来を花束にして
いま、あなたや私が自由に生きられるのは、
100年前に生きた女性たちからの、
命の贈り物を受け取っているからです。
舞台は、今から100年前のイギリス。
『心の平静を欠く女性には政治的判断は向かない』
『女性参政権を認めたら社会構造の崩壊だ』
そんな、あまりにも差別的な理由で、
当時女性には参政権が与えられていませんでした。
劣悪な洗濯工場で7歳から働きはじめ、
男性より労働時間は長いが、賃金は3分の1。
職場での性的圧力にも抗うことができない。
男性に殴られても耐えるしかなく、
離縁する際にも親権はない。
それが労働者階級の女性たちの、
当たり前の生き方だった時代。
「もしかしたら、別の生き方があるのでは」
という、一縷のささやかな希望を持ち、
封建的な社会に立ち向かい、自らの意思で、
死をもって闘った女性たちの実話です。
英国では1918年に制限付き女性参政権が、
日本では1945年に女性参政権が獲得されました。
サウジアラビアでは、つい最近の2015年です。
今、私たち女性が行使している選挙権や、
政治への参加。
その当たり前だと思っている権利は、
多くの女性たちが、悔しさに絶叫し、
大切なわが子や家族との生活を奪われ、
涙をながし、命をかけた苦難によって、
保障された尊いものであるということを、
現代に生きる私たちは、顕在的に
もっと自覚せねばならないと思いました。
【 権利を得ることは義務を引き受けること 】
私は、当時の女性たちに誇れるほどの義務を
社会に対して果たしているだろうか?
キャリー・マリガンの、
静かな慟哭ともいえる表情の演技が素晴らしく、
映像が、当時の動画に切り替わるシーンでは、
涙があふれました。
そして、金沢のシネモンドでは、
観客の半数が男性だったことが嬉しかった。