• 第8回金沢・現代会議  時代に生きる 時代を生きる

    「 鈴木大拙の「大拙」とは、
    大馬鹿者という意味である。」

    鈴木大拙先生のご存命中、
    15年間、秘書を勤められた岡村美穂子氏の、
    そんな語りから始まった「第8回現代会議」

    当日は政治学者の姜尚中氏の講演会、
    鈴木大拙館館長との鼎談と続きました。

    岡村さん、姜さんのお話は「無心」という
    キーワードでリンクしており、
    一聴講者として、下記備忘録。

    「拙」とは、「つたない」という以外にも、
    「下手だ」「劣っている」「愚かだ」
    という意味を持つ。

    それが「大」であるから「大馬鹿者」

    しかも、それは在りたい姿でもあるという。

    逆に「拙くない」というのは、
    主観と客観の分別値が発達すること。

    賢くなり、物事を作為的に謀るようになると
    自分が見えにくくなり、迷いが始まる。

    質の高い安心が得られなくなると、
    人は不自由になり、生きづらくなる。

    また「美しい、美しくない」という
    価値観を超えられなくなる。

    だから「拙い」ことが大切なのだと。

    .
    「拙い」とは「無心」であり、
    それは絶対的な受動性である。

    そして、ここで重要なのは、
    大拙の「大」とは「大小」という、
    相対での「大」ではない。

    1つしかない尊いものであり、
    「大小」の囚われを打ち破る、
    絶対的なものであるということ。

    「大拙」とは、
    固有の価値を見くびらず、
    分別の世界を超えた「無心」という在り方。

    私たちは、知識や教養を身に付け、
    分別のある大人になろうと努力したり、
    賢くなりたいと願いますが、

    「陰極まれば陽となる」

    その向こう側では「大馬鹿者」を願う。

    過去と未来。
    馬鹿と利口。
    善と悪。

    すべては分離したものではなく、
    シームレスに続くひとつの世界なのだと
    感じました。

    そういえば、スティーブ・ジョブズの
    スタンフォード大学卒業式の
    伝説のスピーチでのラストメッセージは、 .
    .
    .
    「 Stay Hungry. Stay Foolish. 」

    鈴木大拙と禅の思想に心酔していた
    スティーブ・ジョブズもまた、
    固有の「大拙」であることを願った
    一人だったのでしょう。

    #StayHungryStayFoolish
    #鈴木大拙
    #禅
    #ZEN
    #現代会議 @ 金沢市文化ホール

  • 人生の最終章をともに紡ぐ

    すべての人間が例外なく、
    「人生の最終章」に向かって今を生きている。

    ニューヨークで30年以上もの間、
    終末期の患者さんと向き合い、
    人生の最終章をともに紡ぐ仕事をしている
    スピリチュアルケアカウンセラー
    岡田 圭さんと、

    西田幾多郎記念哲学館 館長の
    浅見 洋さんの対談を聴講しました。

    スピリチュアルケアカウンセラーは、
    問題を見つけて解決するのではなく、
    患者さんが「自分の命に対する所有権」を
    取り戻せるよう励ましたり、

    その人が「患者」と呼ばれる前に体験した
    「その人の物語」を理解しながら、
    「その人の定義」でケアやサービスを作っていく仕事。

    それには「即興のダンス」という

    すてきな名前がついているそう。
    日本の美意識には二種類あり、

    一つ目は、
    日本料理のように一品一品独立して、
    綺麗に盛り付けられ、
    境界線があることで成立する美しさ。

    二つ目は、
    日本庭園のように、
    苔も岩も境界線なく溶け込み、
    全体が一つになることで生まれる美しさ。 .

    「生きる過程の物語」には
    境界線はないのだから、
    「患者と呼ばれる前」から紡いでいた、
    その人にしか見えない光景から見ることが
    いかに大切かということ。
    そしてそれを招きだす作業や所作、
    話しやすいような時間と空間を
    提供することが「対話~dialogue」
    なのだということ。

    「自分の物語」と「相手の物語」
    両方に目を向け、理解を深め、
    互いに影響を与え合う感性をもつことが
    心の目をひらくことに繋がるのだと感じました。

    #人生の最終章をともに紡ぐ
    #スピリチュアルケアカウンセラー
    #西田幾多郎
    #哲学
    #チャプレン
    #chaplain
    #ダイアローグ
    #ナラティブ
    #岡田圭さん
    #浅見洋さん

  • イギリスアンティークと コッツウォルズの暮らしのお話 

    Drawer Antiqueのささきひとみさんを
    お迎えして、英国アンティーク銀食器の歴史、
    見方、愉しみかたを学びました。

    金沢市東山にある町家「三味」を会場に、
    床の間に銀食器をディスプレイされ、

    幻の品種といわれる「いずみ」の和紅茶と、
    吉はしさんの和菓子のペアリングで
    welcome tea。

    イギリスから、ささき先生がお持ちくださった
    素朴なクッキーやバッテンバーグケーキと、
    スポードのブルーイタリアンのティーカップに入れた
    熱いミルクティと一緒に頂いている最中に、
    いきなり霰(アラレ)が降り、雷が鳴り響くという、
    ナチュラルな金沢演出が効いてました☺️
    .
    アンティークの銀食器には、
    「ビスケットウォーマー」と呼ばれる、
    暖炉の傍に置いてビスケットが
    冷めないようにする食器もあり、

    用途には日常感があるけど、
    デザインの豪華さは、
    まさにダウントンアビーの世界観。
    何よりも、主催なさっている先生方が
    とても愉しげで、「紅茶の時間」を
    心から愛してやまない想いが感じられ、
    伝えていることを自ら生きているって、
    素晴らしい、、、と感じる優雅なひとときでした。

    #ささきひとみ先生
    #イギリスアンティーク
    #金沢市
    #町家でティータイム
    #銀食器
    #コッツウォルズ
    #英国
    #竹松聡子先生
    #島田枝里先生

  • プルーストを読む~失われた時を求めて

    フランス文学研究家の芳野まい先生を迎えての
    gamadan セミナーに参加しました。

    プルーストは1871-1922年に生きた作家で、
    いまの私と同年で他界したと知った時点で
    歴史的人物に一方的なシンパシーを
    感じてしまいました。

    晩年の10年間、密室に閉じ籠り、
    第一次世界対戦前後の社会の変化を
    見つめながら、この長篇小説の創造に
    取り組んだプルーストは、

    医者の家庭で生まれたブルジョワで、
    生涯、まともな職に就くこともなく、


    「何を題材にして自分らしさを表現するか」

    に悩みながら、20代の頃から短編や詩を書き、
    翻訳を試みたりしながら、
    オリジナリティを模索し続けたひと。

    まい先生のお話をうかがいながら、
    「時を失っていく」ことを諦められず、
    必死に自己探求しつづけていたのは
    プルースト本人だったのだと感じられ、

    まさにいま、同じ気持ちでいる私も
    「失われた時を求めて」を通して、
    切なる自己探求をしたくなりました。

    まい先生のお話のなかで、
    強く心に残った言葉は2つ。 .
    .
    「記憶のヒエラルキーの
    編集されていないもののなかに富があり、
    多幸感がある。」

    「プルーストの書いていることすべてが
    役割を持っている。」

    紡いだ言葉すべてに役割があるなんて、
    なんという素敵な賛辞だろうか。

    「プルーストは、
     この世界をどう見ていたのか」
    を感じたくなる、夢のような時間でした。
    金沢にお越しくださった芳野まい先生、
    企画してくださった店長の八木さん、
    同席させてくださったご学友の皆様、
    ありがとうございました!


    #プルースト
    #失われた時を求めて
    #芳野まい先生
    #探すという行為はクリエイション
    #ガマダンアカデミー
    #フランス文学

  • 900年前に生きた修道女からの教え


    「美徳を重んじ 真の美しさを磨く」


    ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、
    健康的な生き方を提唱した
    中世で最も重要な女性の一人です。

    心と体は一体であるという考え方に基づき、
    ハーブやスパイスを食生活へ積極的に取り込み、
    その治療特性を探求し、

    修道女たちにメディカルハーブの知識を伝えて、
    数多くの書物に残しました。

    今日は、900年の時を経て、
    島田薬局 島田和美さんと、
    石田屋ガマダンのコラボレーションで、
    ヒルデガルトの遺した秘伝のレシピをもとに、
    アフタヌーンランチを味わい、
    ホリスティックな考え方を学びました。

    台風の影響で、雨足と風の強い午後でしたが、
    自然界の一員として、自然に身をおき、
    自然のエネルギーを食から感じる経験は、

    穏やかな昼下がりよりも尚、
    しみじみと深い教訓を与えてくれました。

    「 美徳と内なる魂の声に従って、
    各々が伝えてゆきたいことを、
    自分の言葉で伝えていきましょう 」

    という、島田和美さんからのメッセージに
    感情が心地よく揺さぶられました。

    #自然学
    #ヒルデガルド
    #ドイツ
    #修道院
    #美徳と内なる魂の声
    #思慮のパンケーキ
    #スペルト小麦
    #感謝の和漢ティザンヌ
    #発売一周年おめでとうございます @ ガマダン

  • ART de VIVRE

    フランスと言えばチーズ、
    チーズといえばフランス。

    生産量が世界一多いのはチェダーチーズで
    イギリスが発祥であり、
    歴史的起源はメソポタミア文明の
    シュメール人。

    にもかかわらず、仏フロマージュの印象美が
    世界から愛されているのは、

    チーズの食べかたや、
    愉しみかたのデザインが洗練されているから。

    それは、暮らしのスタイルに
    フロマージュを組みこむ
    アペリティフの文化であったり、

    フロマージュプラトーの美しさであったり。。

    世界中にお茶はあれど、
    お茶といえば日本という印象があるのもまた、
    『茶道』という形式が存在するからである。

    そんな優雅なレクチャーを拝聴しながら、
    まじめに愉しくフロマージュをいただく会に
    参加させて頂きました。

    穏やかでゆったりした、
    それでいて華美には決して振れない、
    上品な雰囲気に、

    少女時代に憧れた、暮らしの手帳の
    『すてきなあなたに』の世界観に
    迷いこんだような夜でした。

    #フランスチーズ鑑評騎士の会
    #芳野まい理事
    #幸せで豊かな暮らし
    #デザインはかたちだけではない
    #フロマージュの印象美
    #すてきなあなたに

  • 思索と対話~大人の家庭訪問


    コミュニケーションの恩師との
    4年ぶりの再会。

    『質問したいことがたまったら、
    いつでも連絡しておいで』

    との言葉に甘えてみたら、
    今日は急遽、金沢訪問してくださいました。

    金沢の空は期待どおり、
    青空かと思えば完璧な鉛色になり、
    続いて雨空へと次々移ろう七変化。
    くら竹さんで、お鮨トークから始まり、

    鈴木大拙館では奇跡的にも貸切状態で、
    恩師との『思索と対話』という、
    この上もなく豊かな時間を過ごしました。

    次は、広島の教え子に
    会いに行かれるとか、、、。

    多忙なスケジュールのなか、
    全国を旅しながら、
    教え子を家庭訪問される行動力に
    改めて尊敬と感謝をいだきました。

    たくさんのことばのギフトを
    ありがとうございました。