豊かな生活とは、固有の文化をつくること

10年以上前、この本に影響されて、
日本茶の世界に心酔。。。

日本茶インストラクターになる勉強をし、
京都で試験を受けました。(落ちました(/_;)

とはいえ、今でも私にとって
日本茶は豊かさの象徴。

どんなに忙しくても、
コーヒーや紅茶は生活の中にあるけれど、

心の豊かさを失っているときには、
日本茶を淹れる時間が生活から消えてしまう。

そんな日々の渇きに気づいたときに
開きたくなる一冊。

この本のエピローグで描かれているのは、
1990年代のモロッコ。

静岡のお茶屋に生まれ育った主人公が
自分探しで訪れたカサブランカの小さなカフェ。

そこで出会ったお爺さんが、

昔、この地にあった日本茶喫茶店で
飲んだお茶について、
ノスタルジックに語るシーン。

『チュンミーは、さっぱりとした味で
甘い香りがした。
ミントを入れるといっそう甘くなった。
砂糖なんか入れてなくても。』

主人公は、チュンミーという日本茶の名前を
聞いたこともなかったが、
モロッコで飲まれていたという、
その不思議な日本茶の謎が、
旅の始まりとなりました。

このドラマチックなシーンがとても好きで
一気に日本茶のロマンに引き込まれました。

豊かな生活とは、固有の文化を作ること

自分が選んだモノ、コトでつくり上げる
独自の文化

『お茶を飲む』という日本の文化にも、

その地域ならでは、
その家族ならではの固有の文化がある。

無数のお茶屋さんから、
好みのお茶を選び、
自分なりの淹れ方を探究し、
お気に入りの茶器で愉しんで頂く。

そんな固有の文化が暮らしの隅々にあり、
固有の文化を創りあげる知恵と選択肢を
持っていることが、

わたしにとっては何よりの豊かさなのだと
思い出す一冊。