下請け職人とクリエイターの違い

私は長年、フリーアナウンサーという、
『話す職人』として、
いわゆる下請けの仕事をたくさんしてきました。

下請け職人というのは、永遠の形態ではなく、
自立型経営、独自企業になるまでの我慢の期間、
勉強の期間だと私は思っている。

嫌なことも、つらいことも、苦手なことも、
薄利なことも、面倒なことも、恥ずかしいことも、
一人前になるまでは、とにかく何でもやってみる。

とにかく数をこなす。

数をこなしても、磨かれない質もあるが、

数をこなさずして、磨かれる質はない。

私はそんな奉公を20年続けて、
ふと、年季が明けたな。と思った。

今は自分にできるささやかなことで
誰かの役に立つ喜びを感じているし、

もっともっとできることがあるはず。という
自分の潜在能力の奥深さにも期待している。

でも、とうに年季が明けた職人の中には
自由になる扉がわからず、
ずっと奉公を続けている人もいる。

私も下請け職人だったからよくわかりますが、
職人の望むものは、シンプルに2つです。

①お客様に喜ばれたい。

②自分の能力を認めてもらい、評価されたい。


つまり、原価を割り込むような値付けをされたり、
理不尽な扱いを受けたとき、
下請け職人のマインドは、

日雇い労働者になる。

そのコストカットは、
本来得られるはずの質をも落とす。

一方で、こころも経済も満たされた場では、
職人たちは潜在能力を発揮し、
顧客満足に全力を注ごうと努力する。
そのときのマインドは、
矜持をもったクリエイターになる。
その結果、質を高めた価値を
提供することができるのです。
それが、下請け職人と、クリエイターの違い。
ずっと重ねてきた努力や経験を活かして、
人に喜ばれ、お金を得て、
社会に経済を循環させることこそ、
仕事の醍醐味であり、生きている実感に繋がる。

社名であるWORDROBEワードローブは、
ことばの衣裳部屋であるとともに、

才能あるクリエイターたちが、
自由な組み合わせで輝くことができる場所。
素晴らしきクリエイターを
適材適所にご案内することもまた、
印象美プロデューサーの仕事です。
☆写真の絵は大森慶宣さんの作品です。